アタ語の独立代名詞の非単数指示とその統語機能ついて

アタ語の独立代名詞の非単数指示(non-singular reference) に ついて、双数(dual)、小数(paucal)、複数(plural)の指示体系が動詞の形態統 語法と談話の構造のインターフェイスとして統語レベルで機能することを示し、 アタ語の代名詞の文法的数の指示体系は単数-非単数を基礎とした2分対立に 支えられていることを考察する。
アタ語の独立代名詞は、文法的人称について1人称、2人称、3人称の対立があ り、1人称にはさらに包括的-排除的対立がある。文法的数は単数(singular)- 双数(dual)-小数(paucal)-複数(plural)で対立し、文法的性については男性- 女性の対立が3人称単数と1人称排除的双数、2人称双数、3人称双数に見られる。
形態統語的に、アタ語の動詞は単数-非単数の文法的数の対立を標示(index)す るが、独立代名詞は、動詞の非単数標示を双数(dual)-小数(paucal) -複数 (plural)の3つの対立によってさらに細分化し、指示を明確にする。これによ り節を積み重ねて談話を構成してゆくうえで、形態法および接語法と談話の構 造のインターフェイスとして重要な役割を果たす。
文法的数の認知という視点からは、双数は1/2/3人称単数+3人称単数男性 (1/2/3 singular+singular masculine) あるいは1/2/3人称単数+3人称単数女 性(1/2/3 singular+feminine)という指示構造をもち、小数(paucal)について も1/2/3人称単数+3人称単数以上(1/2/3 singular+third person more than one) という指示構造をもつため、アタ語の代名詞の指示体系は、指示の数そ のものよりも指示対象の対比が重要であり、指示体系の基底には、単数と非単 数という区分を基盤に双数(dual)-小数(paucal)-複数(plural)の対立が重なっ ていることが考察できる。